2030 SDGsで変える
農薬や化学肥料を使わずに栽培されたコメや野菜を学校給食に使う自治体が増えています。オーガニック(有機)な給食は健康に良いだけでなく、農産物とお金の新たな循環を地域につくり、農業の持続可能性も高めます。給食から広がるSDGs(持続可能な開発目標)の可能性に注目しました。
ごはんはすべて地元の有機米 行政とJAが連携
茨城県北西部に位置する常陸大宮市では11月から、小中学校で提供される給食のごはんがすべて、地元産の有機米に切り替わった。
2カ所の給食センターで調理される15校分の給食は毎日2700食で、ごはんのメニューは週に3、4回。除草剤などの農薬や化学肥料を使わずに作られたコシヒカリは食味がよく、「おかわりをする子が増えた」という声が届いている。
同市は「子どもたちに安全で安心な最高の給食を提供し、持続可能な農業のために有機農業を加速させる」(鈴木定幸市長)として、オーガニック給食を推進。2027年までに100%にすることを目指している。
その動きを22年から作り手として支えているのは、常陸農業協同組合(JA常陸)。専門家を招いて有機農法を学び、まずはジャガイモ、ニンジン、ナス、カボチャ、サツマイモの栽培から始めた。
23年から開始した米づくりでは、有機農法を行う田んぼを分けるため、市が間に入って農地の交換も行った。この秋は8カ月分の給食をまかなえるだけの量を収穫。来年は、作付面積をさらに増やす。
無添加のみそ・しょうゆ 調味料にもこだわり
慣行農業と呼ばれる化学肥料や農薬を用いる栽培をしてきた組合内では当初、有機農業に反対する声もあった。それを秋山豊組合長が「抵抗勢力になってはいけない。生き残るためには有機農業は必要で、給食で使ってもらうのだから売り先には困らない」と説得。県の手厚い補助事業も活用して一気に推し進めた。
JAは日々の献立に合わせた…